射精とオーガズム

射精の快感はどこから来るのか?

射精が気持ちいいことは男性なら誰もが知っていますが、なぜ気持ちいいのかというと、生物学的には種の保存本能と結びついていることは間違いありません。つまり射精に強い快感を与えることによって積極的に生殖行動を起こさせ、子孫を繁栄させるための自然の摂理に他なりません。もし射精が苦痛を伴うものであったなら、とっくに人類は滅びていても不思議ではないでしょう。夢精であれ、マスターベーションであれ、一度でも射精を体験すると、その快感を忘れられなくなります。よって世の男性はすべてこの性的快感、つまりオーガズムを求めて射精に励むのです。

しかし射精が気持ちいいことはわかっても、具体的に体のどの部分が快感を感じているのか、考えた人はいるのでしょうか? 少なくとも下腹部ということはわかりますが、ペニス自体が快感を感じているわけではないですね。よく尿道を精液が通過するときの快感がオーガズムであると言われることがありますが、それは正しくないと思います。もしそうだとすれば、排尿のときにも同じ快感があるはずですが、それはないですね。射精時は尿より濃い液体が通過するので、尿道にも多少の快感があることは確かですが、それはオーガズムのごく一部でしかありません。射精の直前にも強いオーガズムを感じていることから、尿道が快感の中心ではないことは確かです。

射精の直前にキューッと熱くなるような感覚から考えると、腰の奥の方で感じていることは間違いないのですが、おそらく前立腺が関係しているのだろうということは想像できます。しかし前立腺の中は尿道が通っていて、そこは普通に尿が流れる経路ですから、そこで快感を感じているわけでもありません。もしあるとすれば、精液だけが通る経路と考えられます。それはつまり射精管と呼ばれる部分です。射精管の位置や機能については「精管・精嚢・射精管・前立腺」をご覧下さい。

体のどこでオーガズムを感じているのかに興味があって、いろいろ文献を調べたのですが、確からしい情報はあまりありません。おそらくまだ完全には解明されていない分野なのでしょう。しかし、どうやら射精管の周囲に快感神経が集中しているらしいことがわかってきました。つまり、射精管の中を精液が通過する際にセンサーを刺激し、それが大脳に伝わるとドーパミンという快楽物質が分泌されてオーガズムを感じるらしいのです。そしていくつかの証拠から、この説はほぼ正しいと確信を持てるようになりました。

まず第一に、オーガズムは射精のときにしか起こらないということです。したがって尿とは別の、精液だけが通る経路で発生していると考えるのが自然です。第二に、オーガズムは精液の律動的な放出に合わせて周期的に起こるということです。このことは射精管の中を精液が通過するときの快感であると考えると理解できます。このとき尿道にも多少の快感はありますが、その中心はペニスではなく腰の奥の方にあるはずです。そして第三に、これが最も重要なのですが、射精の直前にも強い快感があるということです。射精で一番気持ちいいのは精液が出る直前であることは、誰もが疑いようがないでしょう。この時点で精液はまだ尿道を通過していません。しかし「射精のしくみ」を見ていただければわかるように、射精には二段階があって、精液の放出が始まる前の段階として、精子と精嚢液の混合物が射精管を通って前立腺尿道部へと流れ込みます。このときに射精管が刺激されるため、強烈なオーガズムを感じると考えられます。

これでオーガズムの正体は射精管から発生しているらしいことは明らかになったわけですが、射精管というのは前立腺の後ろ側から尿道まで前立腺を貫いていますから、前立腺のあたりということもおおよそ間違いではなかったわけです。ですから快感の強さは、精液の量や勢いと密接に関連していることもわかるでしょう。

ドライオーガズムについて

男性にとって射精は至福の瞬間ですが、終わりがないといわれる女性のオーガズムと違って、男性のオーガズムは射精とともに消失し、不感期と呼ばれる状態に入ってしまいます。気持ちいいのは一瞬だけ、射精とともに奈落の底へ落とされるような感覚を味わうのは、男性の体の構造上避けられないのです。そこでオーガズムをできるだけ長く、そして何度も味わえたらどんなにいいだろうと世の男性の多くは考えるわけです。そういう望みを叶えるための方法として、ドライオーガズムやマルチプルオーガズムといった方法が研究されてきました。この手の情報はネットにいくらでもありますので、興味のある方は検索してみて下さい。

ドライオーガズムの特徴はひと言で言えば、射精を伴わないオーガズムということで、したがって何度でもオーガズムを得ることができるわけです。そんなことが本当に可能なのかと誰もが疑うでしょうが、オーガズムの正体が射精管への精液通過であることを考えると、ある種の訓練を積めば可能になるとも考えられます。そのメカニズムについてもう少し考えてみましょう。

まず性的興奮が高まってくると、睾丸が体の方へ引き寄せられる動作が見られます。多くの男性はこの段階で射精が近づいたことを自覚します。それと同時に体内では、精巣上体に貯えられていた精子が精管の蠕動運動によって前立腺の後ろ側にある精管膨大部という場所まで運ばれます。ここへ一時的に精子が溜まるわけですが、その量が増えて溢れると射精管の方へ精子が流れ込みます。しかし射精管が尿道に合流する出口は射精管閉鎖筋と呼ばれる筋肉で塞がれているため、まだ尿道へ流れ込むことはできません。したがって射精管には次々と流れ込んでくる精子によって高い圧力がかかっています。このため、射精の直前には強烈なオーガズムを感じるのです。そして射精管にかかる圧力がさらに高まり、射精管閉鎖筋が耐えきれなくなると、ついに射精管の出口が開放されて精子が前立腺尿道部へ流れ込みます。これが射精の前段階です。そして、この射精管の出口が開放される瞬間が射精の最終トリガーと考えられています。つまり、それを過ぎると絶対に止められないポイント・オブ・ノーリターンになるわけですが、逆に言えばそこで射精管の開放を止めることができれば射精を抑えることが可能になります。そしてこのとき押し寄せてくる精子の圧力によってオーガズムも得られています。これがドライオーガズムの正体なのです。

問題はどうやって射精管の出口を閉じるかです。射精管閉鎖筋は不随意筋ですから、当然普通の方法ではできません。しかしこの筋肉はPC筋とある程度連動していて、PC筋を鍛えることによって意識的に射精管閉鎖筋を閉じることが可能になるといわれています。その辺の方法論はドライオーガズムのサイトに詳しく書かれています。また射精管の出口を閉じるタイミングも重要で、そのためには精子が精管を通って精管膨大部へ流れ込んでくる体内の動きを感じ取るトレーニングも必要とされています。ドライオーガズムは男性の夢でもありますが、それを習得するためにはかなり高度で地道なトレーニングが要求されるようです。当然、自分もまだできていません。(笑)

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