勃起のしくみ

勃起はペニスの最大の特徴です。勃起すると長さ・太さともに1.5~2倍程度に大きくなり、体積比では数倍にも膨れ上がります。さらに非常に固くなって、女性の膣内への挿入が可能となります。射精するためには勃起していることが不可欠です。勃起という現象はペニスを構成する陰茎海綿体に血液が大量に流れ込むことによって起こります。男性にとって最も大切な勃起ですが、そのしくみは大変巧妙かつデリケートなものです。

(ここで使っている図版はすべてWikimedia Commonsで著作権フリー素材として提供されているものをお借りしました。)

勃起の原因

勃起は脊髄の仙髄という部分にある勃起中枢から指令が送られることにより引き起こされます。勃起という現象は副交感神経系が支配しています。副交感神経はリラックスしている時に働く神経ですから、緊張していると勃起できないのはそのためです。

勃起の原因には大きく分けて二通りの要因があります。一つは女性の裸を見たりすることによる視覚的な興奮、またはエロティックな想像による精神的な興奮によって大脳皮質から勃起中枢へ指令が送られるもので、中枢性勃起と呼んでいます。もう一つは、ペニスへの物理的刺激によって反射的に勃起中枢が興奮するもので、これを反射性勃起と呼んでいます。

反射性勃起はその原因となる刺激がなくなるとすぐ消失するのに対し、中枢性勃起は大脳の興奮が続く限り勃起が維持されます。したがって、強い勃起力を維持するためには大脳の興奮が欠かせないのです。

ペニスの断面

以下に陰茎体部分におけるペニスの断面図を示します。

ペニスの断面図

ペニスの背面側には2つの陰茎海綿体があり、裏側には1つの尿道海綿体があります。海綿体というのは毛細血管の集まりで、中空になったスポンジのような構造をしています。そこへ血液が流れ込むことによって水を吸ったスポンジのように膨張します。

陰茎海綿体は海綿体洞と呼ばれる毛細血管で構成されており、その壁を平滑筋繊維が取り巻いていて、普段は収縮して毛細血管への血液の流入を妨げています。また陰茎海綿体の外側は白膜と呼ばれる厚さ1ミリくらいの丈夫な膜で覆われています。この白膜があるため陰茎海綿体はそれ以上膨張することができず、血液の圧力で非常に固くなります。

尿道海綿体も同様の構造ですが、内部を尿道が貫いています。また尿道海綿体にも白膜がありますが、非常に薄いため勃起しても固くはなりません。これは膨張した陰茎海綿体に圧迫されて尿道が押しつぶされないようにするためです。

ペニスの背面側には陰茎背静脈が通っており、その両側に陰茎背動脈が2本通っています。また陰茎海綿体の中央には陰茎深動脈と呼ばれる太い動脈が通っています。これらの動脈から入った血液は最終的に陰茎背静脈を通って体内へ戻っていきます。

ペニスの血液の流れ

以下にペニス内部の動脈の流れを示します。

ペニス内部の血管

ペニスへ入った陰部動脈は2つに分かれ、1つは陰茎海綿体へ、もう1つは尿道海綿体へ流れます。さらに陰茎海綿体に入った動脈は背面側を通る陰茎背動脈と陰茎海綿体の内部を通る陰茎深動脈に分かれます。

勃起のメカニズム

仙髄にある勃起中枢から指令が発せられると副交感神経を通じて神経伝達物質である一酸化窒素(NO)が放出されます。これが海綿体洞を取り巻く平滑筋組織に取り込まれるとサイクリックGMPという物質が生成され、この働きにより平滑筋が弛緩します。そうするとそれまで抑えられていた動脈からの血液の流入が解放されて、海綿体洞に一気に血液が流れ込みます。海綿体洞は血液で満たされて膨張しますが、周りを白膜という固い膜で覆われているため、それ以上膨張することはできず、血液の圧力でカチカチに固くなります。

さらに陰茎海綿体が膨張したことにより、背面にある陰茎背静脈が圧迫され、血液の出ていく量が減少します。このことにより血液は行き場を失ってペニスに留まった状態になり、勃起が維持されます。勃起したペニスが心臓の鼓動に合わせてピクピクと上下するのはそのためです。

性的興奮が収まるとサイクリックGMPを分解する酵素が働いて、海綿体洞の平滑筋が再び収縮を始めます。すると海綿体洞に流れ込む血液の量が減少し、その結果圧迫されていた陰茎背静脈も解放されてスムーズに血液が出て行くようになり、急速に勃起は収まります。

このように勃起という現象は血液の流量増大と静脈の閉塞という2つが巧妙に作用して成り立っているわけで、いずれかがうまく行かなくても勃起が不能になります。非常にデリケートなしくみですから、ちょっとした精神的ストレスで勃起しなくなってしまったりするわけです。元気良く勃起するのはまさに健康のバロメーターなのです。

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