オナ禁について考える

オナ禁って何?

「オナ禁」という言葉をご存知でしょうか? 何となく「オナニー禁止」の略だということはわかると思いますが、自分の意志である程度の期間オナニーを禁止することを意味します。まあ「禁煙」や「禁酒」と似たようなものでしょうか(笑)。短い場合は2週間くらい、長い場合は半年から1年もオナニー(射精)しないそうです。どうもこの言葉はネット時代になってから広まり出したようで、少なくとも昔は聞いたことがありません。特に若い人の間で密かなブームになっているようです。

ではなぜ男にとって最高の快楽であるはずのオナニーをわざわざ禁止したりするのでしょうか? タバコや酒と同じように、人にとって心地良いものを我慢するのは本来辛いことのはずです。オナ禁にはそれに勝るだけの大きなメリットがあるということなのでしょうか?

オナ禁の効用は?

ネットで「オナ禁」について検索してみると非常に多くのサイトがヒットします。それだけ注目されているということなのですが、オナ禁の効果について謳っていることを要約すると、おおよそ次のようなものが挙げられています。

確かにこれだけ凄い効果があるのなら、オナニーを我慢する価値は十分にあるでしょう(笑)。でも本当に効果があるのでしょうか? 昔からよくオナニーをしすぎると「頭が悪くなる」「禿げる」「ニキビが増える」などと言われていますが、それらは医学的には根拠がなく、オナニーをさせないための戒めとして考えていました。オナ禁の効果と言われているものは、それとちょうど逆になるわけですが、これも根拠のない都市伝説のようなものと考え、無視してきました。

ところが最近男性ホルモンについて勉強を始めたところ、オナニーのやり過ぎは本当に体に良くないということがわかってきました。そもそも射精は人類が子孫を残すために絶対必要な行為ですから、しない方が体に悪いと考えていました。ですからこのサイトでは生殖能力を維持するためにできるだけ射精はした方が良いという立場をとってきました。しかし過度なオナニーによって体の消耗が早められることを知り、射精のしすぎは良くないという考え方に変わってきました。そういうわけで、もしかしたらオナ禁の効果と言われているものはある程度本当なのかもしれないと思い、オナ禁に興味を持つようになりました。

オナ禁と男性ホルモン

上で挙げたオナ禁の効果についてよく考えてみると、これらはすべて男性ホルモンの作用と一致することに気づきました。男性ホルモンの働きについては「男性ホルモンと射精」のページを合わせてご覧下さい。男性ホルモンの正体はテストステロンという物質ですが、これは男性らしい体格や行動様式を実現するのに欠かせないホルモンです。ですから一般的には男性ホルモンが多いほど男らしくてカッコいい人間になるのです。ところがオナ禁のサイトを見ていると、オナ禁によって男性ホルモンの分泌が抑えられるため、様々な良い効果が現れると説明していることがあります。これってどう考えても逆ですよね? ネット情報というのは結構いい加減なことを書いていることが多いのですが、どうも二種類の男性ホルモンを混同していることが原因らしいと気づきました。

男性ホルモンには善玉と悪玉がある

一口に「男性ホルモン」と言いましたが、実は一種類だけではなくて数種類の男性ホルモンが存在することがわかっています。その中で最も重要なものはテストステロンとデヒドロテストステロン(DHT)の二つです。テストステロンというのは上述したように筋肉が付いたり、頭の回転を良くしてくれる非常にありがたいホルモンです。それ自体に脱毛や脂性を引き起こす性質はありません。

ところがテストステロンの一部は5αリダクターゼという酵素の働きによってDHTに変換されます。5αリダクターゼは特に皮脂腺に多く分布しているため、DHTへの変換が促進されると皮脂の分泌が増え、ニキビができたり、脱毛の原因になります。このDHTこそ男性特有の様々なありがたくない現象を引き起こす悪玉男性ホルモンなのです。DHTはテストステロンよりさらに強力なホルモンで、造精機能に関わっているといわれ、本来体に必要なものですが、過剰に出過ぎると様々な好ましくない問題が引き起こされるわけです。

オナ禁のメカニズムを考察する

男性は射精するとプロラクチンというホルモンが大量に分泌され、同時にテストステロンの分泌が抑制されます。これがいわゆる「賢者の時間」というもので、一時的に性欲が減退する原因になります。もちろん時間が経てばテストステロンの分泌が再開されて元の値に戻ります。ところがテストステロン濃度が完全に回復する前に次々と射精していると、どんどんテストステロン濃度が下がっていってしまうわけです。医学的な研究によると、一週間射精を我慢すればテストステロン濃度が上がることが実験で確かめられています。したがって、オナ禁をすればテストステロンの分泌が減るということはあり得ず、むしろ増えると考えるのが自然です。

ところで体というのは非常に巧妙にできていて、テストステロンが不足してくると5αリダクターゼが働き出してDHTに変換するのを促進します。つまり、より強力なDHTを増やすことでテストステロンの不足を補おうとするわけです。ところがこのDHTは皮脂の分泌を盛んにする悪玉ホルモンなので、脱毛などの問題が引き起こされてしまいます。つまり、テストステロンが不足すると相対的にDHTの量が増えるため、男性ホルモンの悪い面ばかりが出てきてしまうことになるのです。これがオナニーをしすぎると禿げるとか言われる理由だと思います。

ここまで書くとおおよそおわかりかと思いますが、オナ禁の効果はテストステロンの濃度を高く保つことによって、DHTの生成を抑えることにあると言えるでしょう。射精しないことでテストステロンの濃度が高まると、相対的にDHTの生成は抑制され、男性ホルモンの良い面ばかりが現れてきます。つまり善玉男性ホルモンを増やして悪玉男性ホルモンを減らすことが目的だと考えられます。そうするとやはりオナ禁には上で述べたような効果があると考えざるを得なくなってきました。

射精は体に大きな負担をかけている

精子というのは睾丸の中で約70日もかけて作られます。もちろん24時間休みなく作られているので次々と補充はされているわけですが、生産量以上に射精ばかりしていると、当然足りなくなってきます。そうなると体は不足を補うためにフル稼働で精子を生産しようとします。その材料はもちろん自分の体の中にあるわけですが、足りなくなってくると他の器官から削ってでも間に合わせようとします。その結果、体全体が消耗することになってしまいます。精子の生産には想像以上のエネルギーが費やされているのです。精液が極めて貴重なものであることは昔の人もよく知っていて、江戸時代には貝原益軒という学者が著書『養生訓』の中で「接して漏らさず」、つまり「性交はしても射精はするな」ということを説いています。無駄に精液を放出すると自分の生命力が奪われることが当時からわかっていたのですね。

悪いオナニー習慣を断ち切る

最近はネットが普及して、家にいながらにしてエロ動画をいくらでも見ることができます。そして、動画を見る→勃起→ペニスを握る→射精という流れになっている人が非常に多いのではないでしょうか? 恥ずかしながら自分もまさにその通りでした。これが実は最悪のオナニー習慣なのです。この場合、オナニーそのものが目的ではなく、あくまでも動画が目的であって、性欲を解消するために射精をしているようなものです。こういうことをやっていると、動画を見るたびに射精する習慣が付いてしまいます。多い人だと一日に何回もやっているのではないでしょうか?

最近若者の精子数が減少していると言われて久しいですが、これはインターネットの影響で射精しすぎるためとも言われています。よく考えると、自分自身もインターネットがなかった頃はそんなにしょっちゅう射精することはなく、3日に一度くらいしかしていなかったことを思い出しました。そしてオナニーそのものが目的でしたから、自分の体の感じるところを徹底的に刺激することで興奮を高め、射精へと導いていました。マウス片手にペニスをしごくようなことはあり得なかったのです。動画を見ながらオナニーするクセが付いてしまうと、強い刺激がないと射精できなくなるため、将来膣内射精が困難になる恐れもあります。これは非常に良くないオナニー習慣なので、ただちにやめるべきです。

まあ25歳くらいまでの若いうちは男性ホルモンが豊富にあるので、たとえ毎日射精しようとも問題はありませんが、歳をとると必ず悪い影響が出てきます。特に30歳を過ぎて一日何回もオナニーしているような人は要注意です。非常に早く老け込む恐れがあります。

エロ動画を見ることでテストステロンの分泌が盛んになるので本来は良いことなのですが、そこで射精してしまうとアウトです。といってもエロ動画を見ながらオナニーを我慢することは拷問に近いので、やはり初めから遠ざけておくことが望ましいでしょう。オナ禁失敗の最大の原因はインターネットと言われており、オナ禁を目指す人はネット断ちもすべしと推奨されています。

オナ禁のデメリットは?

オナ禁には計り知れないメリットがあるということですが、逆にデメリットはないのでしょうか? もしあるとすれば、一つは生殖機能の低下だと思います。人間の体というものは、使わないものは衰えていく性質があるため、生殖器も使わないとやはり退化します。まあ1週間や2週間射精しなくても衰えることはないでしょうが、さすがに半年以上も射精しないと確実に衰えると考えられます。オナ禁はそこまでしないと意味がないという人もいますが、あまり長期のオナ禁は控えるべきでしょう。

もう一つは、オナ禁に失敗したときの精神的なストレスです。いざオナ禁に挑戦しても、ほとんどの人は3日くらいでムラムラの悪魔が襲ってきて射精してしまいます。そして「やっぱり自分は意志の弱い人間だ」という意識を植え付けてしまうのです。実はこの精神的なストレスこそが最大のデメリットだと思います。そうなるとかえって悪い結果をもたらしかねません。

おすすめは短期オナ禁

最近はオナ禁がカッコいいと思われているのでしょうか(笑)、オナ禁してるよという男性をよく聞きますが、間違えてはいけないのはオナ禁自体を目的にしてはいけないということです。何日我慢したかを競うのが目的ではありません。初めから一ヶ月とか無理な目標は立てないことです。射精するのが絶対に悪いことではなく、適度に射精するのは生殖機能を維持する上でむしろ良いことなので、短い期間で目標を立てるのが成功の秘訣です。要は動画を見るたびに射精する習慣をやめて、何日に一回とか自分なりのサイクルを決めておくことです。カレンダーに印を付けておくのもいいでしょう。そしてその日は気兼ねせず思いっきりオナニーしていいのです。自然と解禁日が待ち遠しくなります。

上で述べましたように、オナ禁の目的はテストステロンの濃度を高く保つことにありますから、射精してから十分回復するまでの時間を空ければよいのです。20代の人なら2~3日おきでも十分でしょうが、年齢が上がるほどテストステロンの分泌量が減ってくるので回復に時間がかかります。目安としては自分が我慢できる限界だなと思える日数プラス1日くらいでいいでしょう。ムラムラが止まらないほどになれば十分にテストステロン濃度が回復していると考えられます。僕の場合は原則として中4日空けることにしました。年齢にもよりますが、5~7日程度の短期オナ禁が一番弊害が少なく、かつ効果も実感できるのでおすすめです。

一週間以上のオナ禁は無意味?

最近になって興味深い論文を発見しましたので追記します。

A research on the relationship between ejaculation and serum testosterone level in men (PDFファイル)

この実験の内容は、28人の男性を被験者として、一度射精した後にオナ禁を続けてもらい、一日ごとに血中テストステロン濃度を測定するというものです。

その結果、オナ禁7日後に血中テストステロン濃度がピークに達し、その後はまた平常値に戻ることが確認されています。論文からデータを引用すると次のようになります。

日数(days)テストステロン濃度(ng/dL)
0374±19
1384±17
2375±17
3380±17
4385±15
5404±15
6426±20
7524±22
8417±15

この実験結果は、オナ禁を始めて7日目にテストステロン濃度がピークに達し、その後は再び下がることを示しています。7日目には実に45%もの上昇がほぼ全ての被験者に見られています。

またこの実験に加えて被験者を2グループに分け、一方のグループは8日目に一度射精してから再びオナ禁を始め、もう一方のグループは一度も射精せずに16日目までオナ禁を続けるという実験も行っています。その実験では、射精した方のグループは7日目に再びピークが現れたのに対し、射精しなかった方のグループは変化がなかったということです。

オナ禁とテストステロン濃度に関する実験というのは非常に珍しく貴重なものですが、被験者の数も十分であることからかなり信憑性は高いと思われます。ほとんどの人において、ほぼ例外なく7日目にピークが現れるというのは非常に興味深い結果です。少なくともオナ禁の効果がテストステロン濃度の上昇によるものだとすると、一週間のオナ禁が最も効果的だということが科学的にも言えそうです。逆にそれ以上のオナ禁はやっても無駄ということになります。

もちろんオナ禁の効果がテストステロン濃度だけに依存するものかどうかは不明ですが、一つの参考としてとらえてみてはどうでしょうか? 一週間以上射精しないと勃起や射精能力の低下の方が心配されますので、やはり一週間程度の短期オナ禁が最も効果的ということは間違いではないように思います。

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