精巣・精巣上体・陰嚢

(ここで使っている図版はすべてWikimedia Commonsで著作権フリー素材として提供されているものをお借りしました。)

精巣(睾丸)=精子の巨大製造工場

言うまでもなく「きんたま」のことです。古くは睾丸と呼んでいましたが、現在では精巣に統一されてきているようです。生殖細胞である精子を産生するのが主な役割です。以下に精巣の断面図を示します。

睾丸の断面図と精子の流れ

精巣は卵形をなして表面は白膜と呼ばれる丈夫な膜に覆われています(図のオレンジ色の部分)。日本人の平均的な大きさは長径が3.5センチ前後、重さは8.5グラム前後と言われています。精巣の内部は精巣小葉と呼ばれるたくさんの小部屋に分かれています(図の水色の部分)。それぞれの精巣小葉には精細管と呼ばれる直径140ミクロン程度の円形の管が曲がりくねって詰まっています(図の黄色の部分)。精細管の壁は精子の元になる細胞でできており、減数分裂と呼ばれる特殊な細胞分裂を繰り返して精子が誕生します。出来上がった精子は精細管を通って精巣網と呼ばれる場所に集められ(図の中央で点滅している部分)、そこから輸精管(図のピンク色の部分)を通って精巣上体へと運ばれます。この図では小さな丸で精子の流れを表しています。

精巣はまた男性ホルモンであるテストステロンを分泌する重要な役割も持っています。テストステロンは生殖機能はもちろん、男らしい骨格や筋肉を形作るために不可欠なホルモンです。このように精巣は男性が男性であるために最も大事な器官なのです。

精巣上体(副睾丸)=精子の貯蔵所

精巣の上に覆い被さるように付属している袋状の器官で、その中身は精巣上体管と呼ばれる細い管が折り畳まれて詰まっています。陰嚢の上から触ってみると精巣の上に柔らかくグニャグニャしたものがあって、その存在を確かめることができます。以下に精巣上体の構造を示します。

精巣上体の断面図

精巣上体は大きく3つの部分に分けられ、精巣に近い部位から頭部・体部・尾部と呼ばれます。精巣から出た十数本の輸精管が集まって頭部を形作っています。そしてこれらの輸精管は一本の管に合流して精巣上体管となります。ここから尾部に至るまで、引き伸ばすと5~6メートルにもなる細長い管がびっしりと折り畳まれて詰まっています。精巣で作られたばかりの精子はまだ不完全で運動性を持っておらず、精巣上体管の中を約2ヶ月かけてゆっくりと移動する間に成熟して運動能力を獲得します。そして成熟した精子は尾部に蓄えられ、射精の直前まで待機しています。

精巣上体尾部から上方へ折れ曲がる形で精管が続いています。精巣上体は精管の中を精子がスムーズに移動できるように、微量の粘液も分泌します。また精巣上体は古くなった精子を分解し、体に吸収する働きもすると言われています。そのおかげで常に新鮮な精子がストックされているわけです。

陰嚢=精巣を一定温度に保つラジエーター

陰嚢は精巣と精巣上体を包んでいる袋状の皮膚であり、表面には多くの皺があって筋層と汗腺が発達しています。精子は熱に弱いため、精子を効率的に生産するためには体温より2℃ほど低い34~35℃に保つ必要があります。精巣が体外に出ているのはこのためです。陰嚢の皮膚は皺があるため伸縮性に富み、寒いときには筋肉を緊張させて表面積を減らし、暑いときには皺を伸ばして表面積を増やすことによって温度を一定に保つしくみになっています。また特に暑いときには汗腺から汗を分泌してさらに温度を下げることもできます。

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